霊長類。そしてその中でも人間に近いとされているのが類人猿です。
この類人猿には、ゴリラ、チンパンジー、オラウータン、シロテテナガザルなど有名な霊長類の仲間が属していますが、そのなかでも異色であるのが「ボノボ」でしょう。
photo by LaggedOnUser
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作家の貴志祐介さんの作品に、「新世界より」という作品があります。
この作品の中で出てくるのは1,000年後の日本人なのですが、今の日本人とは少し違うのです。
この未来の日本人の暮らす世界では、「ケンカ」、「争い」、「同族を殺すこと」などは起こりません。「しない」のではなく、「起こらない」のです。
その代わり、小学校を卒業するくらいの年齢になると、同性愛の文化が始まります。
親友をつくるような感覚で、同姓でまるでカップルがするようなコミュニケーションを取ります。手をつなぐことやキスはもちろん、その先まで発展します。
・・・この1000年後の日本人たちは、実は「ボノボ」の遺伝子を組み込まれている、という設定なのです。
ボノボは、ある種の同族間での緊張状態になると、相手とのコミュニケーションによってそれを緩和します。
photo by LaggedOnUser
子孫を残すため以外にそういった行動をとるのは人間とボノボだけだそうです。
同じ霊長類、似た見た目であるチンパンジーなどは同族であろうとも殺すことを厭いません。知性がある分、子どものような遠慮のない残酷さを見せます。
しかし、チンパンジーと同様に高い知能を持つボノボではありますが、「争いを避ける」本能が働くのです。
ちなみにこのチンパンジーとボノボ。
どちらも道具を使うことができ、仕組みを覚えることができる賢い類人猿。
しかし、その目的が少し違うのです。
チンパンジーは例えば「餌をとるために道具を使う」という類のことには大変長けていますが、協調性を伴うことには向いていません。
逆にボノボは、協調性を要するようなことに長けています。そのかわり野生のボノボはほとんど道具を使うことはみられません。
photo by Jeroen Kransen
争いを避け、協調性を重んじるボノボ。
他の世界であれ、こんな生き物は他にいません。
この特長は、ボノボの生態にもヒントがあるのではないかといわれています。
ボノボの赤ちゃんは他の霊長類よりも頼りない時期が長く、また大人になると、二足歩行の時間が長くなります。
そう、人間にどこまでも近いのです。
この奇跡の猿は、実験でも巣晴らしい知能を見せてくれています。
たとえば、通常動物が怖がる火をマッチでつけて焚き火をする。さらにその火でマシュマロを焼く。
キーボードの仕組みを理解する、ビデオゲームで遊ぶ・・・
まるで人間の子どものような知能です。
このボノボ、今から数千年後、数万年後まで生き残ったとしたら、いったいどのような進化を見せてくれるのでしょうか。
それまでどうか、絶滅などせずに生きながらえて欲しい人間の親戚です。
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